[熱力学]理想気体の可逆変化(等温変化・断熱変化)

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前回の続きで理想気体の 5 種類の可逆変化

①等積変化(定積変化・等容変化)

②等圧変化(定圧変化)

③等温変化

④断熱変化

⑤ポリトロープ変化

におけるエネルギー変化について説明していきます。

③等温変化

状態間で温度が変化しないため、T1= T2です。 状態方程式において変化しない m、R、T を右辺に集めると、

PV=mRT=(一定)

となり、圧力と体積は反比例の関係になります。

仕事はより求められますが、等圧変化と違ってPが変化するため、PをVで積分する必要があります。よって

変化で出入りする熱量は Q12=U2-U1+W12 ですが、

等温変化の場合 U2-U1 = mCV(T2-T1)= 0であるため、

Q12=W12

となり、出入りする熱量と気体の仕事量はイコールになります。

(例)
一方の壁が自由に動くシリンダー型の容器に 25°C、0.1MPa の空気 1m3 を入れた後、内部 の温度を保ったまま体積を 10 分の 1 まで圧縮したときの圧力と、この操作で系から出入り した熱量を求めましょう。

圧力はP1V1=P2V2より

 

仕事量は

熱量Q12はW12と等しいので Q12=-253.6 [kJ]

Q12が負の値ということは系から外部へ熱が出て行ったことを示します。

(補足:理論化学分野では分子量n、気体定数 R=8.31〔J/mol・K〕として状態方程式を扱 いますが、工学分野では実用性から質量 m を基準として計算することが多く、このサイトもそれに倣っています。

後者の方式では R [J/kg・K]はガス定数と呼ばれ、一般ガス定数R0=8.31 を気体の分子量 で割った値となります。

25°C、0.1MPaにおける空気比重ρ=1.29 [kg/m3]、見かけの分子量M=29とすると

m=1 ∗ 1.29=1.29 [kg]

R = 8.31 ∗ 1000 ÷ 29 = 286.55 [J/kg・K] です)

④断熱変化

状態間で熱量の増減がないため、Q12=0 です。

状態方程式において変化しない m、R を右辺に集めると、

の関係式が得られます。

仕事は Q = 0 = U2 − U1 + W12より

W12 =−ΔU=mCVΔT

となり、内部エネルギーの増加量と外部からくわえられる仕事量が等しくなります。

(W12は気体が外部に対して行う仕事をプラスにとります) さらに上の関係式と状態方程式を組み合わせると、断熱変化における重要な関係式を導

くことができます。少し複雑な変形ですが頑張りましょう。

まずW12+ΔU=0 より
PdV +mCV dT = 0 と書くことができます。

また理想気体の状態方程式 PV=nRT の両辺を微分すると

PdV + VdP = mRdT

より

これを先ほどの式に代入すると

 

両辺R倍して整理すると

また、理想気体のCVとCPの関係は、CV+R=CPとなることより

さらに比熱比を用いると

両辺PVで割ると

両辺積分しますと、

これを整理すると

の関係が得られます。これはポアソンの法則と呼ばれます。

ポアソンの法則を等温変化(PV=一定)の場合と比較すると、比熱比γは1より大きいため、 断熱変化の PV 線図は等温変化より勾配が急になります。 これは膨張の際には温度が低下し、圧縮の際は温度が上昇することを表します。

次回は9. 理想気体の可逆変化(ポリトロープ変化)

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