4. 気体のする仕事

気体が熱によって膨張すると、その圧力によって仕事がなされます。非常に滑らかな内壁のシリンダーにピストンが刺さっているモデルで、種々の条件における気体の仕事を考えてみましょう。

仕事は次の式で与えられます。

W=F×⊿l  (W:仕事[J]、F:力[N]、⊿l:ピストンの移動距離[m])

この式に系の条件を当てはめることで、仕事を状態量で表してみます。

1.体積一定のとき(等容変化)

ピストンが動かないので⊿l=0であり、W=0です。

2.圧力一定のとき(等圧変化)

ピストンにかかる力は気体の圧力とピストンの断面積の積で与えられるので、

F=P×S    (S:ピストンの断面積[m2])

気体の体積変化はピストンの移動距離と断面積の積で与えられるので、

⊿V=⊿l×S  (⊿V:体積変化[m3])

従って、等圧条件での気体の仕事は次式で表されます。

W=F×⊿l=(P×S)×(⊿V/S)=P⊿V

3.温度一定のとき(等温変化)

圧力が一定ではないので、微小区間での等式W=PdVを積分する必要があります。

温度一定条件では気体の状態方程式 PV=nRT のTが一定であるため

PV=P1V1=P2V2=‥‥=(一定)

そのため任意の状態での圧力は P=P1V1/V で表されます。

よって

と変化前後の状態量であらわすことができます。

(またP1V1=P2V2 よりV2/V1 = P1/P2の関係を導き出します)

4.断熱変化

断熱変化とは系の内外で熱の出入りがない条件のことをいい、この場合は熱力学の第一法則から系の仕事と内部エネルギーの変化量が等しくなります。内部エネルギーと熱力学の第一法則はまた別ページで説明しますので、そこで確認しましょう。

5.ポリトロープ変化

状態変化は上に挙げた1つの状態量が一定の条件や熱量のやり取りがないものの他に、ポリトロープ変化と呼ばれる次のような関係を持った変化があります。

PVn = P1V1n =  P2V2n = 一定

上式はnに任意の値を取ることで様々な条件を表すことができます。

等圧・等容・等温変化も実はこの式に内包されていて、

n = 0 :等圧変化

n = 1 :等温変化

n = ∞ :等容変化

となります。

以上のように熱力学では系の状態変化の条件によって計算の仕方が変わってきます。これは仕事だけでなく内部エネルギーや系に出入りする熱量などエネルギー全般に言えることなので、着目する系がどの状態変化をとるかがとても重要です。

次回は5. 熱力学第一法則