2. 熱力学的なものの見方

 

前回に引き続き熱力学を勉強する上での前提となる事項について確認していきます。

巨視的・微視的

熱力学の立場から物事を考える場合、 分子一つ一つの動きについては全く考慮しません。

もちろん本当は個々の分子のエネルギー変化が積み重なった結果、集団としての温度や圧力変化が生じるわけですが、熱力学ではその結果のみに注目して現象を理解しようとします。

分子レベルの領域で成り立つ法則と分子1023個を一括りとするような実際の系においての法則は大きく異なっており、両者は別々に研究されてきたからです。

前者を微視的(ミクロ)な立場、後者を巨視的(マクロ)な立場といいます。

巨視的・微視的という対比は力学に限らず色々な物の考え方に通じる観点です。

熱力学的平衡

実際の系では起こりがちな局所的な熱の移動・圧力の変化・化学反応・物質の拡散といった内部変化が全くない状態のことを熱力学的平衡状態といいます。

熱力学的平衡状態が熱力学の主役でありこのサイトでもそれについてのみ取り扱います。

ただしさきほど書いたように熱力学は巨視的な学問なので、分子レベルでの衝突などによるごく微小な各種変化については無視するものとします。

また現実には平衡状態でなくとも、メインの事柄に対し非平衡な事柄が著しく小さい場合は、平衡状態で成り立つ式を現実に当てはめて考える意味は大きいです。

実際の系では流体の温度・圧力・流量が一定とみなせる場合が多く、熱力学的平衡とみなしてエネルギー変化を概算すると意外なほど実測値と一致することがあります。

示強性・示量性

熱力学的平衡状態においてはある2つの状態量が決まれば、他の状態量はすべて決まります。また状態量のうち温度や圧力は物質の量が変わっても値が変わらない性質があり、部分的な測定で系全体の情報が得られ、こうした状態量を示強性状態量といいます。

逆に体積や重量などは物質の量が変わると値も変わり、示量性状態量と呼ばれます。

多くの場合示強性状態量の中でも測定がかんたんな温度と圧力を使用して他の状態量を求めます。

可逆的・非可逆的

熱力学的平衡状態から系が別の状態に変化したとき、その状態変化で起こった熱や仕事の増減をもとに戻してやることで系が元の状態に戻る場合、この状態変化を可逆過程と呼びます。熱および仕事の変化の順序は問いません。

可逆過程であるためには、ある状態から別の状態への変化は熱力学的平衡状態を保ったまま行われる必要があります。平衡を保つということは非常にゆっくりと変化させるということで、このような変化を準静的過程と呼びます。

一方で状態変化で増減したエネルギーをもとに戻しても系が元の状態に戻らない場合は非可逆過程と言います。

次回は3. 理想気体の状態方程式