[複素関数]4.複素数列と極限

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序論

いきなり複素数列の話になりましたが、これには理由があります。今までで複素数の演算の基本が終わりました。そして複素関数論を学ぶ目的は複素関数を微分や積分することにあります。そして微分というのは実関数の微分の定義を思い出して欲しいのですが、極限を使って微分係数を求めましたね。複素関数の微分も定義は同じです。ですので、複素関数の極限を調べる必要があります。

そのために「複素数列を使って極限を調べ、その方法を複素関数にも応用する」というややこしいプロセスを踏みます。いきなり複素関数の極限にも進んでもいいような気がするのですが(複素数の極限は感覚として実数の極限と大差ない)、一応学んでいきましょう。

抽象的な議論が多くなります、分からなかったら飛ばしていいです。実際に計算したりする上でこれからやる定理とかは知らなくても困ることはありません。

本題

序論が長くなりましたが、複素数列の定義は実数の数列の複素版と思っていただいて

を複素数列といい、cnと表します。そして複素数列の各構成要素を項と言います。

これが複素数列の定義ですね。次は複素数列の極限の定義をしていきましょう。

複素数列\({c_n}\)に対して、ある複素数cが存在して、

となるとき、\({c_n}\)は極限値cに収束するといい

と表します。

ここまでは実数の考え方と同じだと思います。

そこで実数の極限のときと全く同じ定理が言えます。

定理1.1 収束する複素数列は有界である

証明は省略させていただきますが、ε-N論法と有界(ある範囲に収まる)の定義をチェックしておけばいけると思います。

もちろん、この定理が真ですから対偶も真ですから

有界でない複素数列は発散する

ということも成立します。

もう一つけっこう重要な定理がありまして、証明も簡単ですからやってみましょう。

定理1.2 複素数列{cn}が、cn=an+ibnと表せ、これがc=a+ibに収束するための必要十分条件は、実数列{an}と{bn}がそれぞれa,bに収束することである。

まさしく複素数列の極限と実数列の極限が必要十分条件で結びつけられた重要な定理です。

複素数列がan+ibnと分解できるときには、複素数の極限というのはただの実数の極限を考えればいいと言ってる定理ですね。

(証明)

一般に

だから、cn→cならば、an→a, bn→bである。

一般に

だから、an→a, bn→bならばcn→cである。

ということで証明ができました。

今回はここまでで一つのセクションになります。次は簡単な複素関数と、その極限を計算していこうと思います。

次回は5.複素関数と極限

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