線形代数には用語が多くありまして、覚えていないと参考書とかも読むときに苦労すると思うので、簡単な用語を覚えながら行列の基本を理解していきましょう。
まず、行列とは数が長方形状に並んだものです。
シンプルですね、数字を並べてカッコでくくるだけで行列です。
横のラインを行
縦のラインを列と言います。
行の数がn,列の数がmの行列をn×m行列(nかけるm)と言います。
例えば
という感じです。そして各数字を要素または成分と言います。
すべての
上の2×2行列の例では、「3」は2行1列目の要素ということになります。
一般に、n×m行列のi行j列目の要素を と表現しますので、すべての行列は次のように表せます。
これでどんな行列もかけるようになりました。ここでn=m、つまりn×n行列を見た感じが正方形っぽいことから正方行列と言います。そのまんまですね。
ちなみにすべての要素が0の正方行列を零行列といいO(大文字のオー)と書きます。
ついでにベクトルもさらっと見ていきましょう。ベクトルには2種類あって、
1行だけのベクトル と 1列だけのベクトルの2種類です。
要素をn個持ったものをn次元ベクトルといい、次のように表せます。
また、ベクトルは大きさと方向を持った量だと言えます。
それに対して、2とか-3などの大きさしかない量をベクトルに対してスカラーと言います。
ベクトルをざっくり終わらせましたが、演算方法は行列と同じなので同等に扱っていいです。
さて、では行列の世界の基本の演算を見ていきましょう。今まで習ってきたスカラーと違うところだけ意識して覚えるようにしておけば大丈夫です。
- イコール
行列AとBがあって、A=Bとは
AとBの型が同じかつ各成分が等しい。
という意味です。一つでも成分が違うと等しくありません。
例を見ましょう。
ならば、
s=3
t=7
となりますね。
- 和
行列の世界の足し算ですが、スカラーと同じようにやっていいです。
例を一つ用意しました。
このように1行1列目同士の足し算、1行2列目同士の足し算…という風に同じとこにいる数を足してあげればいいです。感覚的に理解しやすいものだと思いますが、
一つだけ注意点があります。
行列が同じ形でないと足し算ができません!
考えてみれば確かにそうですが
←計算できない。
実際こういう計算式になること自体ありえないことですが、この計算はできないことだけ覚えておきましょう。
- スカラー倍
行列にスカラーをかけるのは各々の要素にスカラーをかければオッケーです。
例を挙げると、
というようになります。これも感覚的に自然なものだと思います。
- 商
積を飛ばして割り算に行きます。かけ算はちょっとややこしいので次の記事に回したいと思います。
さて、割り算ですが、なんと
行列の世界に割り算はありません!
何かを行列で割るということは定義されておらず不可能なのです。
当然、ベクトルも行列の仲間なのでベクトルで割ることもできません。
しかし、後ほどわかりますが、かけ算を使って割り算に近いようなことはできます。
行列の世界は不思議ですがだんだん理解が進むと面白くなってきます。
今日学んだ内容は簡単ですが、演習を一つ用意しました。実際に手を動かすことでより一段と理解が深まるかと思います。
演習1. 次の行列を計算してください。
解答